アンゼルム 傷ついた世界の芸術家
Anselm : Das Rauschen der Zeit
制作年 |
2023 |
 |
邦題 | アンゼルム 傷ついた世界の芸術家 |
原題 | Anselm : Das Rauschen der Zeit |
ジャンル |
ドキュメンタリー |
時間 |
93分 |
デジタル |
3D |
カラー |
カラー |
製作国 |
独 |
製作会社 | Road Movies Filmproduktion |
製作 |
ヴィム・ヴェンダース<Wim Wenders>/カルステン・ブリュニヒ<Karsten Brünig> |
監督 |
ヴィム・ヴェンダース<Wim Wenders> |
エグゼクティブプロデューサー |
ジェレミー・トーマス<Jeremmy Thomas> |
撮影 |
フランツ・ルスティヒ<Franz Lustig> |
ステレオグラファー |
セバスチャン・クレイマー<Sebastian Cramer> ※3Dカメラ担当? |
編集 |
マクシーン・ゲディケ<Maxine Goedichke> |
音楽 |
レオナルド・キュスナー<Leonard Küßner> |
出演 |
アンゼルム・キーファー<Anselm Kiefer>/ダニエル・キーファー(アンゼルムの若い頃)<Daniel Kiefer>、アントン・ヴェンダース(アンゼルムの少年時代)<Anton Wenders>、 |
公式サイト |
アンゼルム 傷ついた世界の芸術家 |
■ 内容
戦後ドイツを代表する芸術家であり、ドイツの暗黒の歴史を主題とした作品群で知られるアンゼルム・キーファーの生涯と、その現在を追ったドキュメンタリー。3D。
アンゼルム・キーファーは、ナチスや戦争、神話などのテーマを、絵画、彫刻、建築など多彩な表現で壮大な世界を創造する、戦後ドイツを代表する芸術家。ヴェンダース監督と同じ、1945年生まれであり、初期の作品の中には、戦後ナチスの暗い歴史に目を背けようとする世論に反し、ナチス式の敬礼を揶揄する作品を作るなど“タブー”に挑戦する作家として美術界の反発を生みながらも注目を浴びる存在となった。1993年からは、フランスに拠点を移し、わらや生地を用いて、歴史、哲学、詩、聖書の世界を創作している。彼の作品に一貫しているのは戦後ドイツ、そして死に向き合ってきたことであり、“傷ついたもの”への鎮魂を捧げ続けている。
制作期間には2年の歳月を費やし、3D&6Kで撮影。従来の3D映画のような飛び出すような仕掛けではなく、絵画や建築を、立体的で目の前に存在するかのような奥行きのある映像を再現し、ドキュメンタリー作品において新しい可能性を追求した。
■ 感想
「pina」と同様に一人の芸術家を暑かった作品です。Road Moviesの製作ですから、セバスチャン・サルガドや法王フランチェスコの映画と違い、ヴェンダース自身が望んで製作された映画です。1945年、同じ年に生まれた芸術家同士、以前から交流があり一緒に映画をつくりたいと話していたとのことで、ピナ・バウシュの時と同様、撮るべき時期がきて製作されたということでしょう。
ヴェンダースがアンゼルム・キーファーの映画を撮ると聞いて、最初に思い浮かべたのが「翼」のイメージ。ヴェンダースの「ベルリン天使の詩」の翼と、キーファーが使うブリキの翼。映画の最後の場面にも登場します。長い芸術活動の中でターニングポイントになる部分を過去の映像から引いてきたり、少年時代、青年時代のキーファーを演じる場面を入れたりと、年代を追うような単純な伝記映画ではありません。
戦後ドイツの瓦礫を女性たちが片付けている映像と作品にある瓦礫を重ねたり、少年時代に描いた絵と、現在の作品環境を映像で重ねたり、雪のひまわり畑でひまわりを寝転んで下から見る青年時代、夏のひまわり畑で寝転んでやはりひまわりを見る少年時代といった、さまざまな方法でキーファーの作品と伝記的な物語のイメージをつなげてくれています。
最初にキーファーの絵が移動しながら現れ、その後、絵を押してきているキーファーが映り、初めてここで絵の巨大さがわかる仕掛けになっています。その後は工房の中を自転車で走り回るキーファーの姿と作品や作品の素材の絵が続きます。ロレックス・ラーニングセンターの短編映画「もし建築が話せたら…」と同様に自転車で走り回り様々な場面を映し出す手法です。
映画はラ・リボートにある巨大な作品やキーファーが製作する場面もあり、どれもたいへん迫力があります。実際に日本ではこれほど巨大な作品を見ることができる美術館はごくわずか。また地震のことも考えると、巨大かつ不安定なものは展示しにくく、コンクリートの塔(The Heavenly Palaces)などは難しいかと思われます。2025年に二条城での展覧会が予定されていますがどのくらいの作品がくるかわかりません。ヴェンダースは芸術作品を映画館で鑑賞するという新しい鑑賞方法を提案してくれていて、これは素晴らしい体験でした。
日本公開日:2024年6月21日全国ロードショー(ドイツ公開日:2023年10月12日)
※日本初公開日:2023年11月1日(第36回東京国際映画祭「ワールド・フォーカス」部門上映作品) |
2023年 第76回カンヌ国際映画祭特別上映作品
2023年 シネ・リブリ(CineLibri)最優秀ドキュメンタリー賞受賞作品
2023年 第36回東京国際映画祭「ワールド・フォーカス」部門上映作品