アランフエスの麗しき日々
Les beaux jours d'Aranjuez
■ 内容
美しい夏の日。パリ郊外の小高い丘にある邸宅の庭。木陰に置かれたテーブルをはさんで座る一組の男女による会話劇。性的体験、子ども時代の思い出、夏の本質、男と女の違いについて長い対話を映し出す。そして、庭に向かって大きく開け放たれた扉の奥の書斎には、タイプライターを前にした1人の作家が庭を見つめながら座っている。
■ 感想
若い頃からの盟友、作家ペーター・ハントケと久しぶりに組んだ作品。女優サラ・ベルナールの邸宅のみを舞台として、10日間で制作された作品。(スペインのアランフェスは会話の中で登場し、男が訪れていますが、映画には登場しません。)
ソフィー・セミンの衣装が赤いワンピース→黄色いスカーフを首に巻く→黄色いカーデガンをはおる→青いワンピースへとどんどん変わるのがおもしろい。視覚的にあまりにも変化がないので、そこに注目せざるを得ない。一方でレダ・カテブもメガネを外したり防止をかぶったりと、微妙に変化を出している。
映画では作家が二人の対話をタイプライターで紡ぎ出している外枠があるが、これは映画での演出で、原作にはない。この作家役を務めるイェンス・ハルツァーは2012年にウィーンのブルク劇場で初上演された際に「男」役を演じている。
ヴェンダースお得意のジュークボックスが登場する。音楽はいつも大きな役割を担う。オープニングはLou Reed "Perfect Day"、途中弾き語りで本人が登場する Nick Cave and The Bad Seeds "Into My Arms"。最後はGus Black " The World Is On Fire"。
ソフィー・セミンは1995年からペーター・ハントケ夫人。2001年から一緒には暮らしてないという情報もあるが、二人の間に産まれた娘がアシスタント・ディレクターを務めている。つまりヴェンダースにとっては、友人の家庭と居心地良くリラックスして仕事ができたのだろう。
日本公開日2017年12月16日。
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2016年 ヴェネチア国際映画祭正式出品作品
2016年 トロント国際映画祭正式出品作品