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誰のせいでもない
Every Thing Will Be Fine


制作年 2014 誰のせいでもない
邦題 誰のせいでもない
原題Every Thing Will Be Fine
ジャンル ドラマ
時間 118分
フイルム -
カラー カラー
製作国 独/加/仏/瑞/諾
製作会社Neue Road Movies
制作総指揮 ジェレミー・トーマス<Jeremy Thomas>/フサイン・アマルシ<Hussain Amarshi>/アーウィン・M・シュミット<Erwin M. Schmidt>/ヴィンス・ジョリヴェット<Vince Jolivette>
製作 ジャン=ピエロ・リンゲル<Gian-Piero Ringel>/ヴィム・ヴェンダース<Wim Wenders>
監督 ヴィム・ヴェンダース<Wim Wenders>
脚本 ビョルン・オラフ・ヨハンセン<Bjørn Olaf Johannessen>
撮影 ブノワ・デビエ<Benoît Debie>
音楽 アレクサンドル・デスプラ<Alexandre Desplat>
出演 ジェームズ・フランコ<James Franco>/シャルロット・ゲンズブール<Charlotte Gainsbourg>/マリ=ジョゼ・クローズ<Marie-Josée Croze>/レイチェル・マクアダムス<Rachel McAdams>/パトリック・ボーショー<Patrick Bauchau>/ピーター・ストーメア<Peter Stormare>/ジュリア・セーラ・ストーン<Julia Sarah Stone>/ジャック・フルトン<Jack Fulton>/ロバート・ネイラー<Robert Naylor>
公式サイト http://www.transformer.co.jp/m/darenai/(日本語)


■ 内容

作家トマスは執筆が進まずスランプに陥っている。彼はカナダのモントリオールで恋人サラと暮らしているが、こちらの関係もうまくいっていない。大雪が降る中、トマスが車を運転していると、突然何かが車の前に飛び出して来た。驚いて急ブレーキをかけ、外に出ると車の前に一人の少年が座っていた。彼は少年の無事を確かめて、安堵して彼を家まで送るが、扉を開けた母親が血相を変えて飛び出していく。トマスも後を追うが…。

■ 感想

ヴェンダースが3Dでドラマを撮る、ということが話題になった本作。3Dで見ることが出来なかったので私には真価はわからない。冒頭、トマスの住む小屋(別荘?)の隙間から舞い降りる雪、ケイトの部屋の光線の具合、ガラスに写る登場人物の顔や姿に、3Dであれば大きく違うであろう映像が気になってしまう。しかし、3Dとは関係なくとも、ヴェンダース映画の風景は変わらず美しい。雪に閉じ込められた冬と開放的で美しい春、話には聞くが、カナダの四季は素晴らしい。

「罪悪感」ととも「作家の業」も重要なテーマだ。トマスはおそらく罪悪感から自らの存在を消したいと願い自暴自棄になったが、意図的な自殺ではないものの相当な精神的な苦痛を抱えた状況から、その経験を作品として昇華していく。作家として成功を収めた出版記念のサイン会のその日、原点に帰ろうとでも考えたのか、事故現場に戻ってきてしまう。ここからある意味物語はスタートする。罪を犯していれば「贖罪の物語」になるのだろうが、彼は罪を犯したと言えるのか?そうではないとしたら、「救い」の物語なのか。

息子を亡くしたケイトの姿が胸に迫る。車の音が聞こえた時に子供の姿が見えないと不安になり、子供を探す不安そうな顔。泣きながら仕事であるイラストを書く姿。彼女の罪悪感は自分がそのときフォークナーの本を読んでいたこと。苦しんだ彼女は救いを教会と聖書に求める。もう一人息子がいるのだから、彼女は立ち直って育てていかなければならない。

トマスは終始無表情だ。彼が表情を出すのは子供の前だけ。事故の後から感情を表に出せなくなっているのか。サラもアンも本心が見えず不安に感じている。一方、短い時間しか接触しないが、ケイトとの間には何故か柔らかい空気が流れる。自分の罪の意識を彼女には知られているという安心感からかもしれない。
クリストファーは彼を慕っているのか、彼を恨んでいるのか。恨んでいるわけではないが、不公平だと考えている。彼が成功した作家だから。それが故にクリストファーとの邂逅は緊張感をはらんだものとなり、それがトマスの罪悪感をよく表現している。ラスト、少しおかしなエピソードだが、トマスはようやく自分に求められていたものがわかった。いいエンディングだと思う。

小さなことだが疑問がある。事故のシーンだが。まずは衝突したらいくら小さな子供でも衝撃でわかると思う。それからニコラスの位置。車の下いるようには思えない。当たって飛ばされてしまったのだろうか?また、クリストファーの視線が斜めにおかしな方向を向いている。あれはニコラスから目をそらしているのか、凝視しているのか、もしくはショックのあまり呆然としているだけなのか。ケイトとトマスが走り出した後、一人家の中に入るところを見ると、ショックだったのだろうとは思うが。
もう一点。ケイトの部屋に飾られていたものは何だろう?魔除けのようなものだろうか?

日本公開日2016年11月12日。


2015年 Camerimage 3D映画部門ノミネート(ブノワ・デビエ)
2016年 ドイツ映画賞音楽賞授賞(アレクサンドル・デスプラ)
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