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ことの次第
Der Stand der Dinge


制作年 1982 Scene1
邦題ことの次第
原題Der Stand der Dinge
ジャンルドラマ
時間 127分
フイルム 16mm
カラー モノクロ
製作国西独
製作会社グレイ・シティ/ロード・ムーヴィーズ/ヴィム・ヴェンダース・プロダクション/プロジェクト・フィルムス/ZDF VO フィルム/フィルム・インターナショナル/アーティフィシャル・アイ
製作クリス・ジーヴァーニッヒ<Chris Sievernich>
監督ヴィム・ヴェンダース<Wim Wenders>
脚本ヴィム・ヴェンダース<Wim Wenders>/ロバート・クレイマー<Robert Kramer>
撮影アンリ・アルカン<Henri Alekan>/フレッド・マーフィ<Fred Murphy>
編集バルバラ・フォン・ヴァイタースハウゼン<Barbara von Weitershausen>
音楽ユルゲン・クニーパー<Jürgen Knieper>
出演パトリック・ボーショー<Patrick Bauchau>(フリッツ)/
イザベル・ワインガルテン<Isabelle Weingarten>(アンナ)/
ポール・ゲッティ三世<Paul Getty III>(デニス)/
ヴィヴァ・オデール<Viva Auder>(ケイト)/
サミュエル・フラー<Samuel Fuller>(ジョー)/
アレン・ゴアウィッツ<Allen Goorwitz>(ゴードン)/
ロジャー・コーマン<Roger Corman>(弁護士)


Scene2
■ 内容

フリッツは1950年代のSF映画のリメイク「ザ・サバイバー」をポルトガルの海岸の村で撮影中、資金が底をつき、フイルムもなくなってしまった。一行は撮影を続けたくても出来なくなり、立ち往生するはめになる。プロデューサーのゴードンはしばらく前に撮影済みのフィルムをもって資金集めにロスに行ったが、帰ってこない上に連絡もつかない。ドイツ人監督のフリッツは業を煮やしたあげく、自らロスに飛ぶ。
ゴードンの弁護士に会うが、探さない方が良いと言われる。どうやらゴードンは組織の金を使い、映画の儲けで穴埋めしようとしたが、持ち帰ったフイルムがモノクロだったため、出資する者がなくて穴埋めできず、そのことで組織に追われているらしい。映画製作の続行は絶望的な展望だった。
それでもフリッツはゴードンを捜して街をうろついていると、キャンピングカーから視線を感じる。追ってみると、やはりゴードンだった。用心のため車を走らせながら車内で話す二人。白黒映画をドイツ人監督などに撮らせることに合意した自分がどうかしていた。カラーの映画をアメリカ人監督に撮らせていれば、こんなことにならなかったと嘆く。朝になって車を降りるフリッツ。別れ際、ゴードンが銃で撃たれた。とっさにフリッツはカメラを銃のように構えるが…。

■ 感想

「ハメット」で感じた映画製作の現場における難しさをヴェンダースが映像化。映画は前半と後半に分かれ、前半はポルトガルの気だるいムード、後半はロスでのB級フイルムノワールの雰囲気満載である。
「ハメット」撮影中断の間に制作された映画はこれ一本ではない。ニックス・ムービーもそうである。つまり、それだけ製作意欲に満ちていた時代であったとも言えるが、本人は否定するものの、やはり欲求不満だとしか思えない。いずれにせよ、映画に対する洞察の深い映画であり、映画界からの支持は大きかったようだ。
ヴェンダースは「ハメット」撮影中断中に当時交際していたイサベル・ヴェンガルタンの仕事場へ立ち寄った。彼女はそのころ「領土」の撮影でポルトガルにいた。そこへでかけていったヴェンダースはスタッフの雰囲気が気に入った。そこには「ハメット」にはない、小規模な部隊の親密な関係があった。そして、あのホテルを見つける。そこで映画を作ることを思い立つ。「領土」の撮影隊をそのまま引き継ぎ、撮影と脚本書きを同時進行という、例によって危ない橋を渡り始める。

ゴードン「映画には物語が必要だ」
フリッツ「必要ないさ。人物と人物の空間で映画は作られる。」

もう、こんな映画を受け入れてくれる人も少ないんだろうな。
この気だるい感じが好きなんだけど。

1981年、ジョン・レノンの死去を「News Week」の雑誌の表紙で語らせている。
映画は同時代的であることも可能なのである。

この作品で一番大きな出会いはアンリ・アルカンであろう。戦後のフランス映画を多数撮影した大物で、この後ヴェンダース作品では「ベルリン、天使の詩」の撮影監督をつとめることになる。


1983年11月 大映インターナショナルフィルム配給
1982年ヴェネチア国際映画祭金獅子賞/1983年ドイツ連邦映画賞(撮影・製作)
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